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【新型インフルエンザ流行の原因】

潜伏期間ナビ♪では新型インフルエンザ流行の原因・感染経路について入門者向きにわかりやすく解説しております。

◆新型インフルエンザの潜伏期間ナビ♪(もくじ)

◆新型インフルエンザウイルスの感染経路

毎年のように世界各国で登場する新型インフルエンザ。

ここでは新型インフルエンザが誕生する仕組みについて見ていきましょう。

通常、A型の自然宿主である「水鳥」「渡り鳥」などのトリが持っているA型ウイルスは国を超えてウイルスを拡散します。

実際は貿易が盛んな現在では家畜の輸送などによってもウイルスが持ち込まれますが、基本的には鳥が大きく拡散する要因のひとつです。

しかし仮に我々ヒトにがウイルスに感染しても「ヒト⇒ヒト」という感染経路をもつA型ウイルスになることはありません。

これはウイルスを包み込んでいる表面抗原がヒトからヒトへウイルスを拡張する機能を持っていない為です。

ですから我々ヒトの間でも流行するウイルスとなる為にはウイルス抗原が変異する必要があります。

そしてヒトからヒトへ感染する新らしい抗原をもつ新型インフルエンザが誕生するケースの大半は実はブタの体内で誕生しております。

~ポイントのまとめ~
★新型インフルエンザの感染経路は水鳥など⇒豚⇒ヒト
★抗原の種類によって感染しない経路もある
★豚の体内でウイルスが変異する

◆2009年の新型インフルエンザはどのようなウイルスだったの?

かなり昔の話になりますがメキシコが発症源と考えられている2009年5月に世界的規模に感染した新型インフルエンザは、ブタが自然宿主としてウイルスを保持していたことから「豚インフルエンザ」「新型インフルエンザ」とも呼ばれていたのを覚えているでしょうか?

やや大規模な流行性インフルエンザの中ではまだ私たちの記憶に残るこの豚インフルエンザはインフルエンザA型に分類される「H1N1亜型」となります。

ヘマグルチニン(H1)とノイラミニダーゼ(N1)が起原となったウイルスの型ということになります。

2009年の豚インフルエンザは「新型インフルエンザ」とも呼ばれておりましたが、実は過去に同様のウイルスが広まった経緯があり高齢者の一部は免疫を保持している事も次第にわかってきたのを覚えていますか?

一度感染した型に関しては体内に免疫抗体が作られている為、同様の型に感染しても即対応できることから症状が軽くすむことが多いのです。

致死率が高いとされたこの豚インフルエンザによって一気に認識が高まったのが今では当たり前に処方されている「タミフル」「リレンザ」です。

当時の厚生労働省はこの抗インフルエンザ薬の確保に追われていた為、毎日のようにTVの話題にもなっていました。

流行が収まった年末、実際の致死率は毎年流行するインフルエンザの致死率とほぼ変わらない確率であったことも今では確認されております。

しかしこの結果がこれらの抗ウイルス薬の効果であるかどうかは不明なままです。

また、更に年数は遡りますが2003年末から東アジアを中心として感染が流行した「高病原性鳥インフルエンザ」の自然宿主は「トリ」であったことから鳥インフルエンザという名称がつけられました。

◆2018年中国にてH7N4型のトリインフルエンザの感染報告

また2018年にはH7N4型のトリインフルエンザのヒトへの感染が中国で初めて確認されております。

H7亜型はトリ間での感染は珍しいものではありません。しかしこれまで人への感染が確認されなかったH7N4型の「ヒト」への感染が確認されたのは衝撃的な事実です。

このインフルエンザもA型ですが、A型ウイルスが世界規模で大流行する可能性がある点はインフルエンザA型の自然宿主が多彩である点が大きな要因のひとつとしてあげられます。

~ポイントのまとめ~
★2009年の豚インフルエンザはH1N1亜型
★自然宿主によって名称が付けられることが多い
★2018年H7N4型のトリインフルエンザのヒトへの感染報告
★インフルエンザA型の自然宿主は多様

◆ウイルス抗原の突然変異で新型が誕生する

2009年に流行した豚インフルエンザは自然宿主が豚であるH1N1亜型でしたね。

豚はウイルスにとって非常に重要な存在でありウイルスの存続のためには欠かせない自然宿主です。

ここでブタがもつインフルエンザA型ウイルスを一度チェックしておきましょう。

【豚が持つウイルスの型】
☆H1N1
☆H3N2
☆H4N6

以上のように豚が持っている型は多数です。

尚、豚の体内ではヒトやトリがもつインフルエンザA型ウイルスが混ざりあったり、増殖を繰り返すうちに新しい感染力をもつ新型インフルエンザウイルスを生み出すようになります。

ヒトからヒトへ感染する能力を持つ新しい型が生み出される大半のケースがこのケースにあたります。

このようなウイルスの突然変異が発生するのは、ほとんどのケースがブタの体内で起こっているのです。

豚自身が持っているウイルスとヒトや鳥がもつウイルス。

これらのウイルスを混ぜ合わせまだ人類が遭遇しておらず免疫を保持していない新しいウイルスを製造している最大の工場が豚の体内ということになります。

豚は最も身近な新しいウイルスの生産場でもあるのですね。

~ポイントのまとめ~
★ウイルスにとっても豚は欠かせない自然宿主
★複数のウイルスの増殖過程の中で突然変異で新型が産まれる
★豚の体内ではヒトからヒトへ感染する能力をもつ新型ウイルスが製造される